シンデレラのサンダル

 今朝見た新聞に一面広告で載っていたサンダルが、一万円を数千円超えていた。オンナ物はそれよりちょっと安くて一万円ちょっと。

 ふ〜。

 980円のチャッパルを買ってすぐに踵のゴムを張り替えてプラス945円を払わねばならぬことを嘆く安物買いの銭失いを繰り返す詮ない身としては……だ。ただただ世間に驚くばかり。
 安物のサンダルは、なぜにあーも、すぐにすり減ってしまうのでしょう? そんなにゴムは高いのだろうか?

 広告のチャッパル(踵にベルトのないサンダルです)を不当に高い値段だと非難しているわけでも、買う人を妬んでいるんでもない。この頃、すこし反省しているのだ。安物買いの銭失いを。


 片足だけ外反母趾になってからというもの、不便このうえない。左右の足の大きさが違ってしまって、いままで履いていたクツやサンダルが、片足だけ痛くなる。それだけじゃない。右足が入らない。
 う〜む、不経済だ。
 まあ、わたしのクツは、マサイのシューズを除いてはほぼ超安物ばかりだし、くたびれはててもいるので惜しむ物ではない。惜しむ物ではないが、クツ箱を見たらそんなのばかり。くたびれていたり、元気であってもだれかにあげられるような物でもなく、捨てる潔さも持てず、これがわたしの生き方か? とため息が出る。

 しかし、そうなると快く履けるサンダルがクツ箱にない。これが最近のわたしの頭痛のタネだ。

 練馬区を出るにはかなり忍びなくくたびれたサンダルですごしてきたが、先日、財布も持たず(忘れた)に営業回りをして、ふと立ち寄った山系の店で、大ヒット! わたしがここ二年ほど思い描いていたサンダルが具現化していて驚いた。しかも、高額商品のそれにほぼ半額の値札が付いたお買い得品になっていた。

 何というハッピーな出会い。これを運命と言わずに、なんとしよう。そのサンダルは22.5センチと、誰も彼もが履けるってしろものじゃない。まるでガラスのクツに収まったシンデレラの足のようにわたしの外反母趾の右足も収まった。山歩き用のサンダルなのでつま先はスニーカーのように覆われているのですが、甲とか踵がサンダル仕様で蒸れなく、クツ底がやや厚で楽です。

 実はその日、脱いだシャツと一緒に財布を忘れパスモで営業回りしていたのだが、バッグの底にカードを発見。
 これは「買いなさい」の神の思し召しなのでしょう。


 ああ、早くこれを旅で試したい。山の斜面だけじゃなくってぬかるんだ道でも滑らないだろうか? 石畳も腰にひびかないだろうか? でこぼこ道でもぐれたりしないだろうか?
 練馬区内では、今のところ、履き心地が優。