ファーブル気分で。


 玄関の戸締まりをして出かけようとしたところで、突如ファーブルしちゃいました。

 わたしはいつもデジカメを持ち歩いており、いつか土門拳、いや南伸坊かな、それとも不肖宮嶋か、というところで、今朝は栗林慧気分で撮影いたしました。

 しかし、何ということでしょう。一度シャッターを押したところで電池切れ、デジカメはうんともすんともおっしゃりません。家に戻って電池を探すも、みーんな使いかけで弱小パワーの電池ばかり。捨てりゃぁいいものを、小さな懐中電灯ぐらいには使えると、使い古しの物ばかりでありました。返す返すも悔しかったのですが、今朝はいつまでも虫にかかわれるほど時間に余裕がないのであります。

 かろうじて撮れた一枚の虫の写真を事務所でご披露すれば、一部で「ぎゃ〜、気持ちわる〜」と顔を背けられてしまいました。わたしが彼女たちの年頃であったなら、何と言うのであろうか? 今となってはわからないであります。

 これも一種の加齢症でありましょうか? と最近思うことがある。虫が気持ち悪い生き物に思えなくなってきました。蚊でさえも殺せないわたしでありましたが、このごろは素の足でアリを踏みつけて殺せるようにもなりました。これは加齢症というより、旅がわたしを強くしたのですが。まったくもってアリは、油断ならない食い物の敵であります。


 ということで、今朝見つけたのは枯れ葉に擬態している虫であります。葉が破れてボソボソ感を出しつつ、さらに反り返っているところまで枯れ葉になりきっているその姿が何ともいじらしいじゃありませんか。

「ヒヨコが隠れんぼしていて、上手に隠れているつもりでしょうが、お尻が見えちゃっているよ」ってのに似ていて、そんなところに枯れ葉があるのが不自然な場所でした。今夜帰っても、まだいるかなぁ。