朝っぱらから、アホしてしまった。


 朝、目覚めて時計を見やれば、6時15分前。またもやどんより曇り空。雨は降る気があるんだかないんだか、はっきりしません。

 怠け者ではありますが、わたしは早朝が好きで、世間がまだ寝静まっているなかをひとり動き回るのが好きです。ちなみに、寝静まってしまったような時間帯は、好きじゃありません。

 新聞を机の上に広げ、晴れていればいらない灯りですが、今朝は必要です。今日はいつもと違って裁縫箱から握りバサミを取りだし、忘れないうちには繕いをすませてしまいましょう。新聞読みにメガネは要りませんが、針仕事にはあったほうが楽なので、メガネをかけました。

 本当にどんよりとした曇り空で、いつまでも明るくならない。暗いなー。

 縫い目に握りバサミの先を差し込みたいのですが、暗くて縫い目がよく見えません。藍色の生地に濃紺のミシン糸だからでしょう。しかたないので、ぐいぐいと感で糸に切り込みを入れました。返し縫いしているところは、固くてやっかいでしたが、なんとか完了。

 次は、新聞を読みましょう。それにしても今日は暗いなー。昨日より目が悪くなった気がする。メガネをかけているのに、新聞の文字が見にくい。やだなー。変だなー。

 ……と、その時、机の上のメガネに気づきました。はて? わたしが今かけているメガネは、いったいなんざんしょ?

 急いでメガネを外せば、わたしがかけていたメガネはサングラスじゃありませんか。部屋の中が暗いのも、縫い目が見えなかったのも、空がいつまでも明るくならないのも、新聞の文字が読みにくかったのも、みーんなサングラスのせいでした。