温かい布団。


 うちの寝室はものすごく寒い。夏には家の中でいちばん心地よいところになるのに、冬はまるで地獄の一丁目

 一昨々年は、寝る少し前に暖房をつけて対処した。勇気ある者が暖房のスイッチを入れに駆けてゆき、部屋が暖まるまで近寄らなかった。それまで約30分、どんなに眠たくても布団に入れず、しかたなく深夜のテレビの前で居眠りしていました。

 昨年度の冬は、居間で寝た。夕飯食べたりテレビを見ているあいだに暖まった居間は、寝るには最高の場所。なのに……、「そんな環境を捨てて、なんで凍えた部屋で寝る必要があるんだ?」ということにようやく気づいた、のですな。ちょっと窮屈ですが、すこぶる快適な冬をすごせました。

 ということで、今年度はどうしているかというと、振り出しに戻って、また寒い部屋で寝ている。

 というのも、昨年の冬の入口、気づくとものすごく忙しくなっていて、寝場所をかえる時間も心の余裕もなく、泊まっていく来客の予定者もあったので、布団の移動が面倒だった。そのひと作業を拒否して、引き替えに「毎晩寒い思いをする」を選ぶのが、自分の性格に科せられた宿命らしい。
 それにしても布団を干したくも、たまの休日が雨だったり雪だったり、ひと晩でコップ一杯の汗をかくというのに、寒い部屋で冷たい布団に寝なければならない自分の性格に、「天に吐いたツバを浴びる」とはこういうことなんだな、と感じている。

 そんな昨年、12月。ホームセンター以外の店にはあまり近寄りたがらないクラマエだが、彼がそこで電気敷布を発見し、買ってきた。

 布団に入る前に電気敷布のスイッチを入れておくと、布団の中がストーブで暖まった居間級に天国になります。だけどクラマエが安物を選んできたので、タイマーがなく、時々ひと晩中布団を温めてしまうことがある。そうすると寝汗をかいて、ノドも渇いたり、真夜中に目を覚ます。そこでスイッチを切ると、寝汗でカラダが冷えて寒くなり、またスイッチを入れる。なんどもそんなことをくり返し、ある夜中、気づいた。

 電気敷布で温まった布団は、温もりが持続しない。なぜだろう? 自分の体温で温めた布団はいつまでも温かいのに、不思議です。電気に温もりを頼ってしまうと、カラダが熱を発しないのですね。布団が冷めるまでに、カラダの熱が追いつければいいのですが、夜中に追いつけ追い越せのデッドヒートをくり返し、なんだかカラダに良くない気がしてきた。

 ひと晩中の電気敷布は、「低温サウナ状態で心臓に悪い」と聞いた。医者に、「心臓が年寄りですね」と言われたことがあるので、寝る前にスイッチを切ることにした。枕元にノドの渇き用に水も置いたが、なんだか病人くさくなってきた。

 しかし、温かい布団は快適です。今週末は晴れそうかな? 布団を干したいな。