ルーペを買った。


 最近、目が悪くなって旅に不便なカラダになってしまった。

 いちばんの問題は、地図が読めない。メガネをかけても地図の文字が読めないこともあって、不便を通り越して困ってる。モスクワの宿でもらったメトロマップなんて問題外で、もらったはいいが使い物にならない。
 こんなもん作って……、「サービスとはなんぞや!」をもう一度、考え直してほしい。
 ガイドブックに載っていたメトロマップは、メガネをかければなんとか読めた。

──もっと度の強いメガネに買い替えなくっちゃダメみたいだなー
 と呟いてみたが、「すぐにもっと悪くなるんだから、百均で買え」と言われた。
 シクシクだ。

 手元の文字読み以外ではメガネが要らないってのが不便に拍車をかけてる。遠くの文字とか、ちょっと先の文字ならクラマエより読める。テレビの出演者だって、クラマエはメガネをかけないと誰だかわからないみたいだけど、わたしは知っている人ならば裸眼でわかる。
 だから、日常生活ではメガネは不要だ。
 でも、料理をするとき、時々要る。スーパーでも時々要る。料理の手順や分量を知るのにメガネが要って、食材や商品の説明書きを読むのにもメガネが要って、あー面倒くさいったらありゃしない。
 手元を見るメガネで手元以外を見るとモノがぼやけるし、気分も悪くなる。先日は地図にあった地下鉄の出口の数字を読み間違えて、かなり遠回りになってしまった。開演ぎりぎりセーフで、まいったまいった。

 それでも漢字や平仮名はシルエットで創造しやすいのですが、欧文文字やキリル文字はダメだ。rとnが続くとmに見えたり、逆だったり、iやlが続くと、いったいいくつあるんだ? になってしまう。1も面倒だ。

 で、ロシアののみの市みたいなところで、ルーペを買った。文字が大きくなった。だけど、レンズの部分が直径40ミリと狭いので、単独文字のみ判読可能。デザインは気に入っているのだが、見かけのわりに重い。そういえば、むかしトルコのトラブゾンで買った望遠鏡も成りそのままに重い。
「店なら300ルーブルだ」と言われたが、じーさんは「200ルーブルでいい」と800円でした。


 毎日持ち歩いて、濁音なのか破裂音なのかを確認するのに便利です。