師走だわ。


 魚の骨を喉に刺してしまった。自分では見えないので、刺さったんじゃなくって引っかかってるだけなのかも知れないけど、咳で傷めた喉をカマスの骨がチクチク突いて鬱陶しいったらありゃしない。

 中学生以来か高校卒業以来か、久しぶりの事件だったので解決策が思い出せない。たしかご飯を噛まずに飲み込んでいたような覚えがある。夕食のご飯は一膳とココロに決めているのですが、骨を取るために何度も飲み込んでいるうちに、取れないまま茶碗一杯のご飯を追加消費してしまった。いいんだろうか?

 クラマエにその方法は危険だと注意され、ヨーグルトでやれと言う。やったけど、やっぱり取れなかった。結局、チクチクさせたまま眠って起きたら、取れていた。時間が解決するんだな。

 今年の冬のバイクは昨年にまして辛い。片道一時間くらいの走行に、わたしの装備は厚手の革ジャンに何年も前のレッグウォーマーを着けていますが、まだ足りない。先日、胸にホカロンをぶら下げてみたら、かなりイケた。信号や渋滞で止まったときに手を胸に押しつけてホカロンをカラダに密着させると、とてもヘブンな感触が全身に染みわたる。オレンジ色のバイクの上にダンゴムシを見たら、それはわたしかもしれませぬ。
 ちなみに、クラマエはレッグウォーマーをモモに巻いてバイクに乗りはじめ、とてもヘブンだと申しております。

 インド・ヒマーチャルのクルで買ったショール。たばこの火を飛ばして穴もあいているけど、ここ10年のクラマエお気に入りのショールで、それが1週間ほど前から行方不明です。寒い地の旅にも勝手にキャンプ大会にも、日常にも使っていたものなので、クラマエはとても残念がっている。
 実はわたしの黄色いクルのショールも昨年のあの日、雨の日あたりから行方が知れません。その日からココロに空洞が開いたようで、季節の変わり目に「もしかしたら……」と衣装ケースの底や向こう側を探すのですが、出てきません。そのショールを羽織って外出したとき、突然に見知らぬ人から声をかけられ、キイロ具合を誉められたことがある。一回きりだけど。
 あっ、そうそう。和歌山の田舎のとあるレストランで、後ろで食事をしていた女性に中国・大理の藍染めのもんぺを誉められたこともある。一回きりだけど。これはまだ健在で、2回目か3回目の勝手にキャンプ大会で買ったもんぺです。でも、あと2年くらいの寿命です。クラマエのはあと1年くらいでしょう。

 古くなったバスタオルで台所の足元のマットを作ったとき、初めて行ったインドで買ったズボンの切れ端を縫いつけました。水や油が飛んだとき、そのマットが雑巾に早変わりし、キュッキュと足で力強く拭いているので、うちの中で一番輝いているのは流しとガスコンロの前です。作ったとき既にどちらもボロ布だったけど、ボロさがました今、愛着の雑巾マットになってしまった。別れはいつやって来るのだろう。いつ来てもいいくらいにうちにはボロはたくさんあるのだけれど。