残り時間。


近況

 夕飯作りをやめてから2カ月たち、うなぎのぼりしていた体重がやや後ずさりした。喜ばしいことで、体重計で測る体脂肪もほんのちょっと減った。嬉しい。クラマエの体重にはちっとも変化が表れずがっかりしていたが、15年前、ジンバブエで買ったズボンに尻が入ったのは今朝の発見です。でも、ウエストがまだ窮屈です。

 4月半ば、元社員の和田さんが助っ人に来てくれた。ありがたや。彼は昨年の11月から夕飯のメニューをヨーグルトとグレープフルーツにし、コーラをやめて体重が12キロ減。

 5月上旬、哲がコンピュータの世話に来てくれた。ありがたや。彼もこの3月から減量に励み、体重を12キロ落としたと言っていた……って、たった2カ月じゃないか。

 元社員のゲンは会うたびにポッチャリ度が高まっている。4月半ばに来たときは、万歩計を腰に下げてチャリでやって来た。そんなの下げて、ちゃんと歩いて来いってば。ゲンは夜中に石神井公園を歩き、1日一万歩が目標らしいが、うちの相田がときどき事務所に歩いてやって来るが、45分かかって5000歩くらいにしかならなかったとがっかりしてた。夜中にそんなに歩いていたら怪しい。そんなゲンだがGWにニューヨークに行ってしこたま歩き、2キロ減に成功。

 「本の雑誌」のあの目黒さんがものすごい量の本を手放した……と新聞のコラムで読んだ。本の収納場所問題もさることながら、自分に残された時間と照らし合わせてみて、読める本の量に限りが見えてきた……というようなことも書いていらした。
 そうだよな、うんうん。

 最近、唐突に人生の残り時間を思う。これからできることに限りを感じるし、その量を想像すると、もう好きなことしかやりたくないな、と思う。だから、やりたいことをやろう、と思う。

 わたしの今後の憧れライフはきもの生活であります。母がわたしのためにきものをいくつか用意してくれているのを、帰省するたびに見せてもらうのですが、わたしの手元になかなか引き寄せられない。
「これはわたしの?」と訊くと「そうだ」と言うのですが、持っていこうとすると、あれこれ利用を付けて引き伸ばされている。着付けの練習をするために一式ひと組持って帰ったら、あとから電話がかかってきて「練習するなら違うのを使って……」と、古いのを送ってきた。別にどっちでもかまわないんだけど。
 持っていこうとするわたしに、どんなことがあってもきものにはさみを入れないで、と頼まれた。いらなくなったら、きものが好きな人にあげなさい、と言いつかったのですが、早くしないと、わたしの時間はそんなに残ってないのになぁ。

 旅先で買ってきたサリーやショールや織物がある。持っているだけで幸せな気分になれるわたしの幸福の素だ。古着もあるが、新品でまとうべきものもたくさんある。
 朝の慌ただしい身支度で、いつも同じショールをまとっている。もっと取っ替え引っ替えあれこれ使わなくては、しまったままあの世にいきかねないなとも思うのですが、あとで洗うのが面倒だと、使わずにいる。本末転倒だな。
 サリーはどうしよう。インド人の親しい友人ができて、その人に娘がいて結婚でもするってことになったら嫁入り道具としてあげるのかな。でも、インド人も洋装化が進んでいるからな。

 やりたいことやりたいことやりたいこと……と、朝にそれを思いうかべる。あのスカートの丈をもう少し短くしたい。2年ほど織り機に糸をかけっぱなしなんだけど、あれの続きをしたい。汚れたままの鉢をキレイにしたい。伸びた枝も切ってあげたい。事務所の倉庫に棚を作りたい。わたしのやりたいことって小さいんだな、と思う。