ムシがやって来る。


近況

 グレゴリが家の天井から落ちてきたムカデに足の甲を刺され、腫れて痛いんだそうだ。
 岡崎大五んちでも、侵入してきたムカデに家の中で刺されると言っていた。
 そういうときは、ムカデを漬けこんだ油を塗ると、あっという間に腫れがひくと言っていたが、南伊豆のご近所さんに言わせると、あんな臭い油をつけるくらいなら、一週間ほどの痛みを我慢するっ! んだと。
 ちなみにグレゴリはドクダミ草を漬けこんだ焼酎を塗って治療中。腫れはすぐにはひかないが、塗ると痒みはおさまるそうだ。両家ともご近所が藪だからな。

 うちではまだムカデを見かけないが、今、カマキリの子どもがうろうろしている。雑草や木の枝を花ビンに挿していたことがあったので、そのせいだろうか。クモの子散らす……いう言い方があるが、どうもカマキリもそれに近いものがある。
 それで、久方ぶりにカマキリをしっかり見てみたのですが、サイズは大きめの蚊ぐらいですが、小さいながらもその姿はしっかりとカマキリしていて、ちょっとませた感じがする。

 エサのない家の中にいてもひもじいだろうと外に出してやろうと追っかけまわしていると、ふっとほんのりした愛情が沸いた。オマエにわたしを認識するノーミソがあったなら、ペットにできるのに。エサだって、せっせとムシを捕獲してもあげよう。うちにの周辺にはゲジゲジダンゴムシがごろごろいるけどな。それじゃぁ、エサの方が大きすぎるか。

 毎年、この時期になるとカッコーが鳴く。どこかの家の時計が鳴っているのかと思ったほど、あれははっきりと「カッコー」って鳴くのですね。一年のうち、今頃だけ聞こえるのですが、あれは愛かなにか囁いているのだろうか? 目をつぶってカッコーを聞くと、まるで森の中にいるような気分になれる。畑に囲まれたうちで思うのでした。