シアン中のわたしのコンピュータ。


 わたしにはとんと関係ないことだけど、夏休みが終わった。

 昨年の夏休み最終日、田中家のマオは夏休みの宿題を終わらすことができず、真知さんと裕子さんのいない家でちょっと大事になっていた。
 一年がたつのは早いものだ。
 彼がはじめてわが家にやってきて、伝い歩きでちゃぶ台にのし上がってガラスのコップを蹴散らしたのも、ジーパンを履いたクラマエのモモにかぶりつき、血をにじませられたのも、わたしの中ではそんな古い話じゃないのに、マオはとっくにわたしの身長を超えた。
 で、彼は来年に高校受験をひかえてるんだが、夏休みの宿題は終わっているのかな。

 夏、恒例の勝手にキャンプ大会が今年で12回目になった。親に連れられてやって来る子どもたちも、もう三回くらい世代交代があったような。もう親について来ないほどに育ってしまったコもいるし、子どもの都合で参加できない親も出てきた。
 で、今年の大きな収穫は、キャンプファイヤーでやる花火をいつも怖がって、毎回涙して母親の後ろに隠れていたオトコのコに、「花火をください」と声をかけられたことだ。キャンプ参加者のどこにこのコの親がいるんだ!? ってくらい線の細そうなオトコのコで、毎年花火から逃げていたのに、今年は違ってた。小学生になったのだろうか。感動するほどにオトコのコに成長していた。
 でも、まだ一本ずつしかもらってくれなかったけれど、来年になったらわしづかみしてくれるだろうか。彼のために、たくさん用意しなくては。

 突然にコンピュータがフリーズしたと思ったら、マウスが壊れた。これじゃ仕事にならないので、町まで買いに出たが、壊れたマウスを見せたら、店員に呆れられた。
──もう、製造してないですよ。今はOS10以上が主流で、いったいいくつのOSを使ってるんですか?

 わたしの机にはマックのG4もありますが、メインはG3で、OSは8とちょっとです。
 呆れる店員がどこかに長いこと電話してくれたけどダメで、周辺機器のフロアを勧められた。
 マウスがなければ仕事にならないよ! って相談係に訴えたら、USBにさえ対応してないわたしのコンピュータを察し、データの取り出し方を教えはじめた。そんなことここで伝授されたって、困る。
 町を変えた。ここでもどこかに電話してくれたけどダメで、データの取り出し方を教えはじめることはなかったけど、「USBに対応していれば、ほら、この箱に書いてあるでしょう、あ、でも、これもダメですね……」と話はつづかない。

 こうなったら中古屋しかない、と探したら、中古屋に新品があった。クラマエのコンピュータ環境もわたしと同じなので危ない、とそこにあった超ッ旧型のマウスを3個買い占めて帰った。

 で、出かける前はマゼンタ色に変色していたモニターがシアン色して文字が読めなくなっていた。以前、マゼンタ色に変色したモニターが数週間後に逝ったが、たくさん買い込んだマウスがムダにならなければよいのだが。画面をG4にしてみたら、大丈夫。ビョーキなのはモニターじゃなくって、G3なのだろうか?
 そうだ、データの退避をしたほうがいいのかな。目の前の仕事はどうしたらよいのだろう? 今、わたしは何をすべきなのだろうか? 困った。

 この夏、両親に電話の子機の利便性と保留の仕方を教えてきたが、わたしもコンピュータを前にすると70を超えた両親状態だ。