みなぎるチカラ。


 子どもは思ったように育たなかったし、花は思ったように育つから……。

 だから、どうした? と問い返したくなるような母の言いぐさだが、ひょうたんの蔓はわたしが思う方向に延びていかない。
 少しくらい日陰だっていいじゃないか。ちょっとぐらいの遠回りをなぜ嫌う。寄り道しなさい、と張った麻縄に蔓の先を絡みつける。世話がやけるったらありゃしない。

 東京は梅雨入りで、雨が降り続いた。連日の雨を言い訳に、植物の世話をしなかった。濡れるの嫌だったし、雨で水やりの必要もなかったし、時どきの晴れ間で浴びた陽で育っていく植物があり、そんなんじゃ足りなくって腐っていった植物もある。
 悲喜こもごもだな。

 東京はもうすぐ梅雨明けすると言うが、もう既にここんとこずっとピーカンつづき。俄然忙しくなってしまった。鉢植えのバジルが水分欠乏ですぐにうなだれる。ひょうたんも鉢に植えているので、毎日水やりしなくっちゃ、すぐにうなだれる。
 ヒトの子なら、「世話をやかせず、自分で飲みな」と言えるのだが。

 雨の中、ミョウガが花咲き出した。花が咲く前にミョウガは採るべきなのか? 両手の平に山盛りほど採れて、ようやく食べ終えたところで、今朝は山盛り2杯採れてしまった。大葉はわたしが食べるより、虫の方が多く食べてる。
 穴掘って生ゴミを埋めているのだが、そこからたくさんの種類の芽が出て蔓が伸びて、その正体を知るべくそのままにしていたら、ジャンプしなければ越えられなくなってしまった。雨に濡れて、そのジャンプが危険だ。もう踏みつけるのは不憫なほどに成長してしまい、広がり度も増している。いつまで飛び越えつづけられるのだろう。

 写真は、わたしが好きな近所の家の庭の藤(たぶん)の蔓にへし曲げられている柵です。この蔓は、右方向へ延びつつ、5カ所くらいで柵をへし曲げている。
生き物