しょうがないなー。

 誕生日がやってきて、免許の更新をやった。バイクで踏切一時停止を怠り、減点&罰金になってゴールド免許を剥奪されているので、近所の警察で更新ってことができなかった。しょうがないなー、と新宿都庁までいって講習を受けた。新宿都庁訪問は初めてで、外国人観光客が記念撮影をするようなところだと初めて知った。
「女性に年齢を訊くのは失礼だ」とかいう人がときどきいるけれど、わたしはもう誕生日が恐ろしくない境地に入っている。それより、年齢を問われても記憶が曖昧ですぐに答えられないことの方が、わたしにはそら恐ろしい。

 まあそれはいい。
 免許の更新センターで手続きを行っていて、「次は〇番へ行きなさいっ!」って命令口調で言われると、ちょっとカチンときてしまう年齢になってしまってめんどうがくさい。そう言われて「えっ?」って言って彼の目を見た。それでも「〇番へ行きなさいっ!」と言う。ふ〜だ。
「えっ?」を3回繰り返したら、聞き取れないほどに語尾を小さな声で濁されて、「〇番へ××××××××」言われた。ほほぉ〜、そうきましたか。向こうにも意地があるのですね。

 ある日、鏡の前に置かれた化粧水のビンのフタが開いていた。
 まさか、泥棒が入ったんだろうか? それでひと仕事終えて外に出る前に、顔を洗ってわたしの化粧水を使ったのだろうか? 怖いな。でも、ほかには家の中に異変は見あたらない。不思議だ。
 気にすることを忘れた頃に、まただ。また、開いている。ふ〜む。わたし以外のだれがこの化粧水を使っているというのだ? 顔を洗うのに石けんさえ使わないクラマエが使うってことは、千にひとつもありえない。いったい、どういうことだ。ふ〜む。

 最初がいつだったのかは忘れたが、そんなことがたまにだけれど今もつづく。そして、犯人はわかった。わたしだ。使用後、たんにフタを閉め忘れていただけだ。訳がわかってからは回数は減ったが、ときに開けっ放しのビンを朝に見る。で、見ては「また忘れてしまったのだな…」と自分を戒める。だけど戒めが緩んだ頃に、また見る。「こんなことではいかんっ!」と反省し、使用後に閉めるを意識する……を繰り返す日々だ。しょうがないなー。

 それだけじゃない。まだ2回目だが、困ったことが起きている。髪を洗った後のリンスを洗い流し忘れるのだ。1回目は電車の中で突如、洗い流さなかったことを思い出した。それで、それには言い訳があったから、電車の中で笑い話にした。
 その訳ってのは、通常のわたしは石けんで髪を洗ったあと、クエン酸を溶かした湯で髪を中和させている。その場合は、最後にクエン酸のかかった髪を洗い流す必要がなくって、そのままでいい。これはものぐさなわたしに合っている。いまクエン酸を買い忘れていて(これもまたものぐさな性格のせいなんだけど)、シャンプー&リンスを使っている。ドラッグストアで洗剤を買っても、クエン酸は買い忘れる。トイレットペーパーを買っても、クエン酸を買い忘れる。ずーと買い忘れている。
 クエン酸がなければ酢でかまわないのだが、風呂に酢を持ってはいるのを忘れつづけてもいる。

 で、問題は昨日の2回目だ。
 今日は髪の乾きが遅いな……と思ったところで、「また流し忘れたのでは?」と。それで風呂に入って髪を洗っていた状況を思い返す。髪をシャンプーで泡立てているのは思い浮かぶのに、どうしてもリンスの部分が思い浮かばない。リンスし忘れたのかな? との疑いも出たが、髪に湯をかけたら、湯が濁った。なんだ、ちゃんとリンスしたんだ。でも、リンスした記憶はどうしても引っ張り出せない。ふ〜。
 これはとてもマズいことじゃないかな?

 旅行人事務所の三人はほぼ似たような年齢で、みなハーフセンチュリー越境組だ。いつからか、三人で声かけあって「ここに置くからね」とか「明日、〇〇に電話するの覚えててね」って声かけあっている。どこに置いたか思い出せない本(プレゼント用)のために、ここ数年で二度本を買ったこともある。昔からすぐ忘れるクラマエを今さらあてにはできないが、一応勘定に入れて何ごとにも「三つ巴」となって「三本の矢」になって取り組んでいるのだが、このごろは三人寄っても一人前に足りないと思われることが、ふ〜、だわさ。