めざせ、70秒。
なんだろう? この疎外感。
世間から相手にされていない、ターゲットにされていないのだな、と時どき思う。世間のはしゃぎについていけないのだ。べつにかまわないけど。
テレビで「ぐ〜ぐ〜」言ってる。クラマエに訊いても無駄な手間なので、旅行人唯一の世間の事情通の相田さんに、「ぐ〜」の正体を訊いたら、「子どもに人気があるのですよ」と教えてくれた。
そうか、子ども用なんだ。
エックスジャパンのドラムのひとが頸椎損傷で世界ツアーが延期になったんだって──とクラマエに教えたら、代わりのドラマーをたてればいいじゃないか、と。ふむふむ、なるほど。相田さんに、「どう、この案?」って言ったら、ドラムのひとがエックスジャパンの中心人物だと教えられた。
ちょっと、やばいかな?
最近、テレビやDVDのリモコンを押し間違えると、訳のわからん画面が出てきて、携帯電話もそうだが、面倒なのでメインスイッチを切ってリセットしてしまう。これじゃぁ、おばさん超えて、おばーちゃんじゃないか。
でもね、先日いった歯医者のおじーちゃん先生に、治療の後の治りが早く、痛み止めさえ必要のなかったわたしのカラダの回復力に驚き、「おー、丈夫だねぇ、まだまだ乙女のような回復力だ!」と言われた。おじーちゃん先生からみれば、わたしなんかまだまだ若造でしょうか? そういえば、今は亡き祖父80過ぎが、60代の甥っ子とゲートボールをしていて、「あの若造、下手でしょーがない」と愚痴こぼしていたな。
ここんとこまだ数日だけど、毎晩テレビを見ながら……ぶら下がっている。
といっても、あっという間の60秒なのでテレビは必要ないんだけれど、貧乏性のながら族です。腕が痛くなって滑り落ちるのではないので、もう少しぶら下がっていられそうなんだけどな。それで、ゴムのイボイボ付きの軍手をしてぶら下がってみたけど、やっぱり60秒を超えたあたりで、落下する。
きっと、重いんだ。
どこかが痛くなって……というわけでもなく、椅子に長く座っていられない。正しい姿勢がダメなのだ。きっと根性が曲がってるんだ、わたしの母みたいに(むかし、母方の祖母がわたしの母のことをそう言ってた)。
机の前でいろんな姿勢をとるが、どれもしっくりこない。今、わたしにもっとも優しい姿勢ってのは、椅子の座面に海苔巻き状に丸めた座布団を置き、それに腰掛ける──というもの。腰掛けてインド人のじいさんみたいに両膝を抱え込んだり、胡座をかいたり、立て膝もたてたりする。だから、仕事に励むわたしの姿は人様に見せられたもんじゃない。
だけどそのカッパ巻きの座布団がペシャンコになってきて、さらにそれを巻く座布団が必要になってきた。あぁ、これじゃぁ太巻きだぁ。
重いんだな、わたしのお尻。
それで、毎晩横になって、やはりテレビを見ながら、腰を左右にひねったり、足を片方ずつ腹に引き寄せたりしてカラダをほぐしている。そうすると、翌日、同じ姿勢で座っていられる時間が長くなる。腰が痛いわけじゃない。同じ姿勢をつづけていると、どうも、しっくりこなくなる。しっくりくる姿勢が、単に世間じゃ「行儀悪い」って言われてるヤツなので、困ったものだ。
そして、もうひとつ困ることがある。おしゃれができない。膝小僧が曲げやすいテロテロのパンツが、かわいそうにくたびれてきた。地球に優しいかどうかはわからぬが、スカートに似合わない姿勢が、わたしのカラダには優しいのだよ。
もしかしたら、これは、仕事なんかしてないで、外へ出て遊べっ! っていう神からの啓示か?