徳俵人生のその後。

 1センチショックを受けてから、煮干しの佃煮を2パック食べ、スーパーで「カルシウム」の文字に誘われてキビナゴの干したのを2袋買った。まだ、食べてないけど。鹿児島じゃキビナゴの刺身を食べるそうだが、あんなちっぽけなサカナで刺身をつくる手間は、考えただけでも恐ろしい。刺身で食わなければならないほど、キビナゴの刺身は旨いのだろうか。わたしは知らない。
 そういえば、まだ、フグ鍋の味も知らない。次の冬のテーマだ。
 今日は「そのままでも食べられるよ」と言われて千葉産の煮干しを200グラム買った。アタマを取りのぞいて酢に漬けても美味しいそうだ。酢もカラダにいいから、一石二鳥だ。
 そして、「軽く焙って食べな、旨いよ」と魚屋に言われてメヒカリを2連買った。買ったところで、もうたくさんのカルシウムを摂ったような気分になってしまった。そうだ、さっきの夕飯のあとで、煮干しを食べればよかったんだ。
 すぐ、忘れるんだ。
 ちなみに、その魚屋で、わたしは「おネエさん」あつかい。この呼ばれ方が気に入っている。でも、家の近所のとある店では、わたしは「ママ」と呼ばれる。最初からじゃない。いつの間にか、そうなった。そのときそれが明らかにわたしへの呼びかけだったので、「ママ」の呼びかけに返事してしまった。以来、そう呼ばれるようになった。

 別に、どこでもかしこでも、「おネエさん」と厚かましくも呼んでほしいわけじゃないけれど。母じゃないのよ──と言ってみようかな、と思ったこともあったが、言ってない。
 で、相田さんに「わたし、ママって呼ばれるんだよねー、なぜだろね?」「今度、子どもはいないのよって言ってみようかなぁ」と言ってみた。彼女の推測では、「ママ」は母ではなく、スナックの「ママ」かもしれませんよ、と。
 そうかもしれない。
 そう解釈してからは、ますます「ママじゃないのよ」って抵抗しにくくなり、東京の片隅で何のママでもないのにママやってる。
 健康診断の結果が出た。エヘンっ! おほんっ! ちょっとそこ行くヒト、コレを見てごらん! と誰彼かまわず見せたくなるほどに「A」がずらっと並んでいて、未だかつてないほどに良い成績の通信簿をもらった気分であります。小中高大を通してこんなに良い成績表をいただいたことはない。あー見せびらかしたい。でも、ひとつだけ「C」があって、そのため総合評価は「C」なんだが。そこは指の一本もあれば、隠せる。
 18年前に受けた健康診断で、「見かけと違って心臓が年寄りですね」と言われていた心臓も「モンダイなし」だった。アレはなんだったんだろう? あの医者はわたしに「見かけによらず、胃下垂ですね」とも言った。ヒトは見かけで判断してはならぬのだ。彼はわたしを「スポーツが得意でしょう!?」とも言ったが、そんなこと言ったら当時のわたしの草野球のプレーを知るものたちにどやされるぞ。わたしが塁に出ると、チームの仲間からブーイングがあがった。
 なんちゅうチームメイトだろう。
 わたしの鈍足が点取り&好プレー(盗塁)の邪魔をすることは知っている。

 今回の医者はCを指さし、動物性の脂を控えて植物性の脂を摂るようにしたほうがいいですと言うので、「週に5対2くらいでほぼサカナ食なのになぁ」と言い返すと、サカナも動物性の脂なんだそーだ。
 ごもっとも。
 じゃぁ、肉も魚も控えて、野菜の天ぷらってのはカラダに良いのだろうか? わからない。
 テレビ番組あたりから仕入れた知識の受け売りで、母が「タマネギのスライスが血液をキレイにするから食べなさい」「ネバネバ食材を食べなさい」「ラッキョウがいい」……コレがいい、アレがいい、とアレコレ言ってくるのだが、それらをクリアするだけで、腹がいっぱいになってしまう。いつ、好きなモノを食べたらいいんだろう?

 で、最近、カラダにいいモノを改良して好きなモノに変身させるという手を考えた。タマネギのスライスにポン酢をかけ、削ったかつ節を入れて、冷蔵庫の常備食にしている。夏の食事に合っていて、しかも旨い。冷や奴にも合うし、うどんのぶっかけにも合う。トマトのスライスの上にのっけてもいいし、サラダに混ぜると、ドレッシングになる。
 モロヘイヤをお浸しにして食べるのも好きだ。茹でたモロヘイヤを小分けにして冷凍にした。食べるときは電子レンジでで調理済み料理の解凍でチンするほどでもなく、ビニールの袋ごと水に浸して解凍できる。これにかつ節を削って混ぜるともっと好きで、熱いご飯にのせたり、冷や奴にたっぷりかけて食べる。
 夏はオクラの季節。これも、刻んでかつ節削って混ぜて、冷や奴に天こ盛りして食べるのが好きだ。オクラに豆腐を入れるんでもいいくらい好きだ。
 おや? いかんっ! かつ節は動物性脂の持ち主ではないか。煮干しも食べつけると旨く感じるのだが、なんだか塩分を摂りすぎている気がしないでもないな。
 あー、あっちを立てればこっちが立たず……だ。