わたしのオーバースペック。

 う〜、一昨日は寒い休日だった。寒くって散歩する気にもならず、家から一歩も出なかった。出てる場合じゃないってほどに、家の中にはやるべきことが山積みなのだ。

 で、あっという間に休日が終わってしまった。

「あ〜ぁ、もう日曜日が終わってしまった。あれもこれも、やり残した。あ〜ぁ……」と月曜の朝に愚痴たら「昨日は一日中、バッグを作ってたじゃないか」と言われた。
 一日中じゃないやいっ。食事だって2回作ったし、雨降りだというのに洗濯だって3杯洗って干した。書類探しと年賀状書きと、タマネギの整理とiPodの曲の入れ替えと……言い出せばキリないほどにやっておくべきことがあったのに、すっかり忘れてた。というか、そこまで辿りつけなかったのだ。
「そんなにできるはずがない」とも言われた。わたしはどうも欲深いようだ。それにしても、やりたいこととやっておいたほうがいいこととやるべきことが、わたしには多い。

 で、今回の作品は写真のバッグです。
 ストーンウォッシュが流行った27,8年前のスカートと、10年ほど前に作った枕カバーの残り布でショルダーバッグを作った。左右の尻のポケットを合わせて、携帯電話とかポケットティッシュなどが入れられる小物入れにし、ぶら下げた。
 近所のスーパーの2階にあった手芸屋が100円ショップに替わってしまったのは2年ほど前。昨年の暮れには事務所の近くにあった手芸屋も店閉まい。ふ〜、とても不便している。ミシン糸や縫い針さえも電車に乗らなければ手に入らないしくしくの現状なので、肩紐の色がイマイチだがしかたがない。雨降りだし、出かける気にもならなかった。



 アライモノガカリさんから苦情が出た。台所のスポンジを買い換えたのだが、小さくて使いにくいって。「あんたの手のひらが普通サイズじゃないのよ」と言ってみたが、わたしの手のひらにも小さかった。使う前はそれほど小さいとも思わなかったが、水を含ませて握ると、手応えなくしぼんでしまう。なんだか、イースト菌を入れすぎたときのわたしのパンみたいに押せばへこむ、スカスカスポンジだ。

 選ぶときに大いに悩んだのだが、結果はこれか。ふ〜、だ。有名メーカーのスポンジが1コ143円だった。色と2層構造であったこと、見た目が同じなのに5コで98円の品が並んで売られていた。前回、違う色と堅さののスポンジを買ってアライモノガカリさんに不評だったので、オーソドックスなタイプに戻したのだが、さんざん迷って5コで98円をかごに入れた。しかし、だ。使ってみれば、3コを合体させたくなるほど、弾力のないスポンジ。買わなかった143円の使い心地はいかがなものだったのだろうか? 
「そんなところでケチるな」とも言われたが、日々、こういうことの積み重ねなのだ。それでも2コ分、まだ得なのだろうか? それにしても、洗いにくい。

 安けりゃ安いに根拠があって、高いにもまたそれなりの根拠があるのだろう。それで、買い物では品を手に取り裏に書かれた説明書きを読んでみるのだが、書かれている物質の正体なんてほとんどわからない。「タウリン配合!」とかCMから流れてくるが、なんだアレ? そのタウリンってヤツの正体もありがたさもわたしは知らない。世間ではあたりまえの物質なのだろうか? 「インドメタシン!」ってのもそうだったが、これは偶然にもその正体を知る機会があって、ほどほどにありがたく使っている。
 それから値札をじっと見て、その根拠を推測する。推理小説をあまり読まないのは、この日常の中にある推理でもううんざりしているせいだろうか?

 安物買いで損も得もしてるし、高いモノ買って大損も良かったってこともある。わたしの買い物は、オーバースペックなのものに手を出しがちのきらいがある。アライモノガカリさんは買う時点で不要なモノと思われるモノのないモノをほぼ選ぶ。かなり両端に立ってモノを選んでいる。アライモノガカリさんの最近の後悔は、クルマのナビでCDのみ可を選んでしまったこと。DVDも可なら、音楽のDVDだって聴きながら運転できたのにな、というぼやきを2度聞いたことがある。ちなみに、最初はiPodを持ってなかったので装着不可のナビだったけど、iPodを買ってからその利便性を知ってコードを取り付けてもらって可になった。

 で、わたしだが、今、越えようとしているオーバースペックは電子レンジだ。休日の家電屋で、レンジでクッキングのデモンストレーションによろめいて、すごいの買ってしまった。「他店より値段が高かったら申しつけてください」を突いてさらに200円安くしてもらって、溜め込んでいたポイントとクーポン券を総動員し、現金で払ったのはほぼ半額。そして、再び20パーセントのポイントをゲット! とかなにやらたくさんの理由を付けて大がかりな電子レンジを手に入れた。
 ふ〜、これからだ。

 22年間使い続けた電子レンジは家の隅に置き場を与え、日陰の身ながらも今も働いている。それはアライモノガカリさんが電子レンジでコーヒー豆のカスをカビないようにに温めるためだ。新しいレンジにはメニューがたくさんあるが、コーヒー豆の乾燥って項目はなく、どれでやったらよいのか未だ判明してないせいだ。で、古い電子レンジに頼みに行く。
 わたしも、ときどき行く。ポテトサラダ用にジャガイモの下ごしらえをなにでやったらよいのだ? 鶏の胸肉とエリンギの酒蒸しも、選ぶのが楽な古いレンジに走る。今度のはメニューが多くって、わたしが求めているモノにたどりつくより、古きに走る方が早いってことが往々にしてある。というより、かなり多い。わたしの知識が、まだ古いレンジの手のひらの内なのだ。