カモかも。

 毎朝渡る川がある。
 練馬の端っこを流れる川だけど、ジャンプして飛び越えられるほど小さくはなく、何か所にも橋がかかっていてそのひとつを渡っている。ここ3〜4年は行きも帰りも100メートルほどその川沿いを歩いている。

 わたしが毎朝渡るその橋の両脇の川面に、たくさんのカモが棲んでいる。最初に見たときは2〜3羽で、おーこれはっ! いつぞやテレビで見た「小ガモの道路横断」がナマで見られる! と待ち焦がれていたのだが、小ガモの姿はずっと気配さえなし。
 彼らの中に雌はおらんのだろうか?

 2年ほど前だったかな、わたしの通り道周辺の川底も含め護岸工事がなされて、カモの休憩所になっていた水草やら雑草が根こそぎさらわれて、わたしはカモに代わって練馬区の行政を恨んでおりました。ら? 水草および雑草のチカラは練馬行政をねじ伏せ、いまは以前同様、それ以上に草が生えている。そこに流れてくるゴミが絡まるほどに。練馬の行政よ、もうちょっときれいにしてもいいんじゃないかってくらいだ。そのうち水の流れが塞がれそうだ。

 まあいい。今年は大丈夫だ。
 それで、この夏は小ガモを見たんだが、水辺と道路の高低差がありすぎるんだろう、小ガモの道路横断はなかった。それで、いつのまにか小ガモは親ガモとの区別がつかないほどに育って、増えて、先日は42羽を数えた。日によって26羽とか33羽とかいろいろなんだが、最高記録をだした。
 で、ここのカモは冬になってどこかに旅立ってる様子もなく、一年中見ることができる。どこまで増えるんだろうか?

「あのカモ、誰も食べないのかなぁ? 美味しそうだなぁ」とうちのオソージガカリさんは橋を渡りながら呟く。
 そうだよなぁ、スーパーで見るタイ産の鴨肉だって良いお値段がしている。ブロイラーものじゃないし、練馬地鴨はどうだろ? ここは、天候と風向きによっては牛のニオイもして、それを吸いこむとここじゃないところへ飛べる橋だ。