ピーマンの謎。

 
それなら、なぜピーマンは緑で売られているんだろう?──というのが、うちのオソージガカリさんの疑問であります。
 わたしも、そう思う。
 
 秋から今頃にかけてうちの近所の畑で売られている袋詰めのピーマンは、緑だけじゃなくって赤いのが混じりだす。それで、だんだん赤が増えてくる。
 畑のお母さんは「赤いのも一緒に料理するときれいだよ」って言って、緑と赤が合体したピーマンをおまけにくれる。この合体ピーマンなんだが、その二色の境目が食い物としてはかなり不味そうな色で、ほぼ黒。最初は、腐ってるんじゃないかーって、怖ず怖ずもらったが、いまじゃ「嬉しいわっ」とおまけをもらってる。

「あたしみたいにシワくちゃだけど、ダイジョーブだから、あげるよー」って言って、晴天つづきのせいなのか雨にやられたせいなのか、採りたてなんだけど表皮がシワくちゃのナスをもらった。ぎょぎょっとするくらい老いた風情のナスで、どーしましょう? ともらって帰ったが、包丁を入れてみると皮の下は瑞々しくって、美味しかった。
 へーそーなんだ。「人は見かけによらない」ってのがあるが、野菜もそーなんだ。

 農家の娘なのに、家にいた頃は台所に立って野菜を触る事なんてなかったので、この年になって近所の畑で野菜の神秘を知ることが多い。まあ、それを興味深いことと思える年齢になった結果でしょう。

 で、ピーマンの謎だ。畑で見る赤いピーマンも緑のピーマンも同じ枝でなってる。別の種じゃないんだな、これが。
 で、調べたんだが、緑のピーマンは「未熟果」なんだって、知らなかった。それなら赤いピーマンは完熟の姿なんだろうか? 未熟果の状態の緑から完熟に向かって赤の色素であるカプサイチンが増えて赤くなり、ビタミンCは2倍、カロテンは3倍になると『からだにおいしい野菜の便利帳』(高橋書店)には書いてあった。
 それならなぜピーマンは赤じゃなくて緑のうちに売られて、わたしたちは食べているんだろう? トマトだって、赤くなってから食べているじゃないか。あっ、メキシコでは緑のトマトで辛いソースをつくってるな。

 で、前出のオソージガカリさんとわたしの疑問になったのでした。実は緑のピーマンと赤いピーマンは味が違う。後者が断然甘い。この甘さが、野菜として不向きな味なのかな? でも、パプリカは甘いじゃないか? まあ、人の好みをとやかく言うまい。

 本には緑から赤になるのに7週間かかるとあった。このあたりに、訳が潜んでいそうだ。ピーマンは縦に切るのと横切りでは味が違うの、気づいてました? 野菜の細胞を壊さぬよう切るか、壊してしまうかの結果なんだが、わたしにはわかりません。

 ピントの甘い写真で、すみません。