復活できるか?

 わたしは生まれてこの方、母に誉められたことのない哀しい娘だ。たとえば「今日は顔色がいいね・・・」程度のことでさえ、わたしの記憶にはない。
 それは娘を思えば、どんな顔色であろうと心配の素なのだろうか? そのあたりの母ゴコロは、母ではないわたしにはわからない。

 顔色が悪いね、目のまわりが黒いよ、疲れてるんじゃないの?──なんともないよ、大丈夫だよ、お母さん。
 まぶたにものもらいができてるんじゃないの?──違うよ、お母さん。今日のわたしは、お化粧してるの。
 わたしを見るたび健康を心配してばかりいるので、この正月からわたしは化粧をすることにしたのだが、そのオトメ心というか、娘ゴコロをまったく理解しない母だ。

 今回のバングラデシュ&インドの旅にも日焼け止め配合の化粧品を持って行った。昨年の12月のソウル旅行で、実に25年ぶりに化粧品を買ったのだ。なるだけ黒っぽい色のファンデーションを・・・と選んだのだが、それでも塗るとやけに顔が白くなって、自分としては違和感がある。だけど店員さんに「それより黒めはおすすめできない」と言われたので決めたんだが、じゃぁ、なんで? どんな人のために売っているのだ?
 ああ、それはよしとして、日焼け止めファンデーションが功を奏してか、帰国後のわたしの顔は、腕の色と比べるとかなり白め。それで、しめしめと母と会ったら、上記の会話となった。
 しくしくな話なのに、そばでオソージガカリさんが笑ってる。

 バングラデシュもインドも雨季前の超からから乾季で、旅行には好都合だったけど、バス移動で窓を全開にして写真を撮っていたら、のどを傷めた。咳が止まらなくなって、咳止めシロップを飲んで、咳止め飴をなめて、のどの炎症を治すクスリも飲んだ。超下痢にもなって下痢止めも飲んだが、すぐに効いて、前回のようにその後に便秘で苦しむことはなかった。
 インドもバングラデシュもそうだったが、クスリが安くていいなぁ。箱買いじゃなくって、バラで買えるのもいいなぁ。

 のどは、ある程度の時間がたてば治る治癒力がわたしにはまだあるようだった。しかし、全開の窓からの風を顔面で受けつづけたら、肌(顔の)がワジってしまった。涸れ川と言ったほうが想像しやすいでしょうか。干からびた鏡餅じゃなく、まさにワジなんだ。でも、ところどころに干からびた鏡餅っぽいところもあるのも事実だが、そこは母の顔にあるシワと同位置だから、乾いた風のせいじゃない。
 こっちの治癒力に自信はないので、薬局でワジった顔の相談をしてマッサージを教わった。そのひとつにアタマを後ろにそらしたまま鼻のアタマにとどけとばかりに舌を伸ばすというのがあって、風呂でやってる。それがものすごくアホっぽい姿(店員さんも照れながら実演してくれた)で、世間の美しい人たちも家の中ではこんなアホっぽい姿をさらしているのでしょうか? と、自分だけじゃないって言い聞かせないとやってらんない、な。