マンゴーの季節だ。

 遠い地のインドが、マンゴーに似ているようにも思えてくるこの時期、もう彼の地ではそのシーズンの峠を越えてしまっただろうか?
 その昔、メシに胃袋をさくのが惜しいほどにマンゴーを食べまくった日々があった。そしてその幸福な日々は、突如、ハリケーンによって奪われ、以来、グッドタイミングでインドを訪れたことがない。あーインドがマンゴーな日々であれば、そのときタイはドリアンな日々だ。インド同様、グッドタイミングの訪タイはあれ以来ないなぁ。
 食い物で彼の地を思うなんて、なんと賎しいことよ。

 5月になると、近所のスーパーにもメキシコマンゴーが並びはじめる。わたしの中の初夏到来の吉祥印であります。そして悪いことばかり連れてくる春が終わるサインでもあります。
 ここ数年、お手頃値段になるとマンゴーをまとめ買いする。できるほどに安くなるのだ。それで熟し加減に差をつけていくつも買うが、今はまだ、わたしのところにまで降りてこない。
 で、昨日、週末ご贔屓のスーパーに行ったら、「半額」のシールが貼られたマンゴーがあった。「メキシコマンゴー398円」の中のひとつだけにそのシールが貼られてあって、めっけ物だ。ちょっと触ってみたが、まだ充分な手応えがある。
 明朝でもOKだ。
 はるばる遠くまでやってきた甲斐があったってものよ、と今日の収穫をオソージガカリさんに自慢しよう。
 スーパーのレジでは、買ったモノの値段の打ち込みを必ず目で追うことにしている。違うスーパーだったが、わたしは今までに3回ほどだが、値段を間違えられたことがある。バーコードを機械が読み取って、なぜ間違うのか? 不思議な体験が3度もあると、日本だってアブナイなと、わたしの学ばないアタマだって用心するようになる。
 で、マンゴーをバーコードにかざすと1980円となった? あれ? 一品が1980円もするものをカゴに入れた覚えはない。
 えっ? 半額のマンゴは198円じゃなくって、1980円ですか? ラベルを確認すると「1980円」って値札が貼り付いている。そういえば、マンゴーをくるんであるお座布団が白じゃなくってサーモンピンク色ってのも、特別な品の印かしら?
 とにかく「メキシコマンゴー398円」の中にあった「半額マンゴー」は1980円らしい。動揺してすぐにキャンセルしちゃって、その元値3960円の出身地を確認しなかったのをオソージガカリさんに責められたけど、気づかずにお金を払っちゃってなかったことに安堵する。

 最近、駅の周辺でワゴンにミカンをのせて売っている人がいる。店を構えていない人から買うのをオソージガカリさんに止められている。というのも、トラックの荷台に乗ったモモやリンゴを買って、ほぼ全滅しているからだ。で、「学べっ!」って、「何度言えばわかるのだ?」と言われています。
 最近そういう人たちが増えていて、それに安い値段が付いていて、それがとても不思議だったので、先日テレビでやってた「農家の小せがれさんたちですか?」と訊ねてみましたが、彼らは違いました。
 話しかけてしまったので、とりあえずすすめられた静岡産のみかんを食べました。美味しかったけど、うちには駿河ゴールドがまだたくさんあるし・・・だけど、試食しちゃったから買ったほうがいいのかなぁ、と迷って「6個300円なら」と買う意志を告げると値札がひっくり返されて「3コで1,050円のところを今日は特別に・・・」って、なにそれ?
「6コ300円はどれ?」と訊ねると、紙袋の中から赤児の握り拳より小さなミカンを取り出した。それはわたしに試食させたものじゃなかった。
 ミカンは美味しかったけど、なんだか腹が立ってきた。もしかしたら、わたしが勝手にワゴンの中のミカンの値段と勘違いしたのかもしれないが、その美味しかったミカンの脇に値札が手書きしてあったし。
 ふ〜、またオソージガカリさんに怒られちまうとこだったわ。

↓初めて見たほうれん草の花。