今朝のできごと。

 最近の母は、若きころから蒔きつづけている種が実を結んだのか、もらいものをよくする。それで、そういういただきもので「体重が増えた気がするんだけど、体重計の電池が切れて計れない」と嘆く。
 歩きなさい。歩くのは年寄りの仕事のひとつだ───と諭すと、少しの沈黙の後、「自分が年寄りだって実感がない」と。
 あーそれなら言いかえる。七〇代になったら、歩くのも仕事のひとつよ。
「そういえば、万歩計の電池も切れてるよ」
 母娘で漫才するつもりはないわ。
 が、そーよねぇ。わたしもハーフセンチュリー越えしたけど、中年だって実感はないわな。
 実家の近辺では元気なお年寄りが多く、お隣りのおじいさんは96歳で毎晩二合の晩酌をかかさないし、裏のおじいさんも95歳ぐらいなんだが、デイケアに行きだしたらそこが楽しくてもっと生きよう! 近所の足の悪いおばあさんは500メートルほどしか離れていない病院にさえもどこに行くのもタクシーだったが、ひょんなことでお金が入って「使わずに死ねない」と乳母車を杖に歩き出したら、足は治るは元気もりもり食欲も増大。
「ご近所さんの老人、死ぬの忘れてる」とは、母の弁。わたしの母は死ぬときはぽっくり逝きたいと、ぽっくり地蔵にお参りしている話を聞いていたが、母の兄が癌でぽっくり逝ってしまって、そういえば最近はお参りしている話は聞かないな。
↓ 家の近くの畑のでかい赤カブ。ここの赤カブは近所では売られておらず、運良く畑の主に遭遇しなければ買えない。甘酢漬けにすると旨い。黒いビニールの下にも実が隠れていて、デブ猫のアタマくらいでかい。