実は・・・。

 目尻の赤味がなかなか完治しないので、診てもらおうと病院に向かったのに、途中でトイレに行きたくなって寄り道したら診察受付時間に間に合わなくなって、断念した。無念を胸に抱えて家に引き返し、食べていなかった朝食をとって、再出発。仕切り直して出勤したのに、途中でまたトイレに行きたくなって冷や汗かいた。同じところでトイレを借りるのは、さすがのわたしも恥ずかしい。
 ということで、今日、病院行きを再チャレンジ。今回も途中下車せねばならぬ事態はおきたが、診てもらえた。結果は、まあ、一種の加齢症の症状ってことでした。
 元旦に買ったヒートテックを初着用。カラダにぴったりと吸い付くような感じで、その姿を鏡で確認し、むかしむかし、鏡張りのトレーニングルームでエアロビクス・デビューしたときの恥ずかしい記憶とダブル。あの日、ガマのアブラ気分を味わった記憶がよみがえってきた。
 まあ、それはよしとして、前と後ろを判断にするに目安にしているタグが首まわりについていない。こっちだっ!で着てみたが、ハイネックの部分に継ぎ目が見えたのでハズレだ。トイレで着替えようとしたが、カラダに吸い付いたヒートテックの向きを変えるのは簡単じゃなかった。首まわりに圧迫感を感じたが、その日一日を我慢してすごした。
 相田さんに「どーやって前と後ろを判断してるの?」って訊くと、素材などの書かれたタグは左側についていることが彼女の経験値で高いそうだ。判らないときは「左」にしてるって。その日のわたしのヒートテックのタグは「右」だった。
 それで今日、黒のモヘアのセーターを着るに、ちょいと思案する。どーしましょう? なぜなら、首まわりに後ろを示すタグがあるが、敢えてわたしはそちらを前にして着てきた。
 わたしが思う後ろにはボタンがあってタグがつけられないから、前にタグが付けてある───と思っていたが違っていたみたい。相田さんのいう「左」も、わたしの案では「右」になる。わたしはそのセーターの後ろが好きで着てきたけど、相田さんの経験値で判断すると、わたしの前は実は後ろだったってことが、30年ぶりに解き明かされた訳だ。
 裏返してトレーナーを着るのが流行った30年ほど前、オソージガカリさんは電車の中でおばさまに「裏返しよ」と囁かれたけど、わたしはいままで誰にも「後ろ前ですよ」なんて言われたことない。それで、今日は正統派で出勤した。それでも、誰も何も言わない。どっちだ? ってのは、当人しか気にしてないモノのようだ。