緑のカーテン。

 美味しいモノと縁遠い人生を歩んではいるが、いくつか自慢話はある。だけど、今じゃ美味しかった思い出しか残っていないので、詳しい味の説明はできない。とにかく、それはそれは、へぶ〜んな味だった。
 順位はつけられないが、テヘランキャビア寿司が旨かった。心残りは、あまりの感動でおかわりし損なったことだ。その後、イスタンブールの絨毯屋ユーリックで旧ソ連製の缶詰キャビアをご馳走になったが、失礼にも、イランの生キャビアとはまるっきり別ものだった。イランといえば、ニンジンジュースも旨い。彼の国の朝飯には、ニンジンジャムがよく出てきた。エジプトもイエメンもアルジェリアのニンジンも、とてもスウィートだ。インドネシアのパイナップルもインドのマンゴーも、もちろんタイのドリアンにも美味しい想い出がある。
 ザンジバルのマトンビリヤーニも旨かった。その後、本場のインドでも食べたが、ザンジバルの安食堂の勝ち! 実はザンジバルにもたくさんの香辛料があって、ふんだんに使われていた。ビリヤーニの中にたくさん入った丁字とかカルダモンが、口の中で異物となって邪魔になるのがちょっと難点ではある。
 20年前に滞在したザンジバルで、彼の国の親父たちは、旨いビリヤーニを食べずに、パパイヤを食べていた。ものすごい暑い日中、食欲が湧かない彼らが夏を乗り切るには、パパイヤはすんなり食べられていいんだそうだ。冷えたパパイヤをひとつ丸ごと食べていた。
「アボガドなんて、味がしないぞ。パパイヤを食いな」と言われた。
 ふ〜、前置きが長くなってしまった。スーパーで売られているパパイヤで、当たりに巡り合ったことがない。そこで、パパイヤの苗を見つけたので、植えた。夏の勝手にキャンプ大会に間に合うだろうか? せめてソムタム作りに間に合えば、ご馳走しよう。
 パッションフルーツの苗も手に入れた。やはり20年ほど前、ザイールに行こうとして、まずケニアからウガンダへ向かった。夜行列車を降りて、問題なく国境を越え、ウガンダ側のボーダー近くにあった食堂でジュースを注文した。それが初めてのパッションフルーツ体験で、こんな小さな村で、しかもしょぼい食堂で出されたジュースはコップ入りじゃなくって、ビン入りだった。たぶん元はワインとかウイスキーが入っていただろうビンに、たっぷりと。
 以来、パッションフルーツ体験はない。
 ネットを張ることが、オソージガカリさんに不評だが、ジュースが飲めるとなったら、話は別だろう。果たして、いくつの実が収穫できるだろう。パッションフルーツの緑の実がアボガド色になったら食べ頃なんだそうだ。
↓パパイヤの苗とパッションフルーツの実がなった苗と、花。時計草の仲間です。