モツベシ。

 最近、マンガばかり読んでいる。
 といっても、読書は布団に寝転がってから眠ってしまうまでの数十分だし、数分のこともあるし、疲れて本を掲げられない夜も多いので、たいした読書量ではない。最後の活字本は昨年から今年の初めあたりに読んでいた『わたしの名は紅』だろうか? しかし、未だ読み切れていない。
 これが結構難解(?)なストーリーで、ため息本なんだ。最初の数十ページを4度読んで、そのまま枕元にあって久しい。いー加減、片づけよう。そうだ、今夜片づけよう。
 昨年、コーカサスの帰りに寄ったイスタンブールの元絨毯屋ユーリックの三男がこの本と著者を絶賛していて、彼はこの本をきっかけに細密画にのめり込み、今ではミニアチュールのミニ(?)パトロンになっているようなこと言っていた、と理解した。
 で、帰国後、日本語訳があったので手に入れたが、なかなか読みすすめなくて、それで内容がよく理解できないでいて「バカだからかな?」と思っていたら、ムベンベの高野秀行さんが「訳が悪い!」と書いていた。
 そうか、そうだったんだ。良かった、アタマが超悪いせいじゃなかったようだ。
 それはさておき、わたしが読んでいるマンガはすべて旅行人の相田さんのものだ。話題になったマンガのタイトルを言うと、相田さんは必ず持っていて、貸してくれる。続きものなら、新刊が出ると持ってきてくれる。オソージガカリさんが好きそうなマンガを手に入れると「こんなのありますよ」と持ってきてくれる。それで、わたしも借りて読む。
 マジシャンのように相田さんからマンガが、ぽっ、ぱっ、ほらっ、どうぞ、と出てくる。『百姓貴族』も『野田ともうします』も、すごく面白かった。
 おかげさまで、久しくマンガを買うことなどなくすごしてきたのですが、今回、オソージガカリさんがたくさん借りたマンガの中の一部を先に拝借して読んだのち、オトメの胸にジュワと灯ったモノがありました。正体はなにぞ?
 ちなみに「オトメ」とは、いきつけの歯医者のおじーさん先生がのわたしをそう呼ぶ。
 モツベシ、持つベシ、持つべし───と聞こえてくる。
 ぽちぽちぽち・・・と連続8回クリックして、あーやっちまった。オトメ買いの『竹光侍』です。
 著者の松本太洋さんに印税が届きますように。ささやかではありますが、わたしからのラブレターであります。