呪縛

 竹は節(ふし)があるから丈夫なんだ───妻や娘に軽んじられていた父が、わたしに言った数少ない訓話のひとつだ。
 そのとき父はわたしに何を言いたかったのかというと、30歳間近の長女に「そろそろ東京を離れ、静岡に帰ってくる時期だよ」だった。
 人間にも節が必要だ、ということのようでした。
 で、わたしの節はいつも春だ。イヤなことが春の強い風に乗ってやってくる。そしてその春の誕生日の周辺で体調を崩すことが多くなった、そんな気がしている。今年も、まさにその日の朝に、突然にアタマが痛くなって起き上がれなくなった。訳がわからん。今回は比較的軽くて一時間弱ヨコになっていたら治った。
 やはり、コレがわたしの節のひとつなんだろうか? あの日からの呪縛なんだろうか? そうですか、お父さん?
 むかしはたまにだった気がするが、だんだんと周期が短くなって、一昨年は重症でせっかくのフグ料理を台無しにしたが、昨年はへっちゃらだった。生まれ月日のあたりでわたしに節ができる。これがバージョンアップのためというのなら、いたしかたないが、本当に律儀に誕生日だってのが鬼門だ。
 まあ、それはともかく、今年の分の誕生日を無事にクリア!